mustard
アブラナ科の1年草

聖書では「マスタードシード1粒ほどの信仰があれば不可能なことはない」と信仰の奇跡的力の比喩に、小粒なマスタードシードが使われています。

そんなマスタードシードは、インドの副菜レリッシュやおでん、ソーセージなど、世界各国のお料理の名傍役としてかかせないスパイスですが、日本の家庭ではチューブ入りの和からしや粒マスタードの瓶詰めの方がお馴染みで、スパイスのマスタードシードはまだまだ馴染みがありません。

すり鉢で粉砕しぬるま湯で溶けば、おでんに合うフレッシュな練りカラシに、荒めに砕いて白ワインやビネガーと合わせればソーセージに合う粒マスタードに、ホールのまま炒めて使えばインド風味のお料理が簡単に作れます。1本でカレーや野菜炒めなど様々なお料理にちょっとした深みを加えられるスパイスです。

アーユルヴェーダでは作り立ての食べものだけに、プラーナ(エネルギー):オージャスが宿ると伝えています。加工された調味料ボトルをいくつも冷蔵庫に並べるのではなく、スパイスボトル1本でお料理に合わせた即席調味料を作るのも、1つのワクワクに繋がりますし、キッチンがスッキリしますね!

マスタードシードの成分
ブラウンマスタード系:シニグリン→アリルイソチオシアネート
イエローマスタード(ホワイト)系:シナルビン→パラオキシべンジルイソチオシアネート

マスタードシードの効能(マスタードシードの薬理効果・健康効果)
鉄分、マグネシウム、リン、などのミネラルが豊富に含まれていると言われるマスタードシード。辛味成分であるアリルイソチオシアネートは、ポリフェノールなどで注目されているフィトケミカル(別名:ファイトケミカル)の一種で、抗酸化作用はもちろんのこと、抗癌作用、腫瘍化防止があるとされています。
薬理効果がそれほど注目されているスパイスではありませんが、便秘や嘔吐、消化促進、利尿にも効果があるとも言われています。抗菌効果も期待できる為、ピクルスなどには風味付けと保存性の両方を期待して利用されます。

マスタードシードの香りと特徴
マスタードシードは、ブラウン・オリエンタル・ブラック・イエローと4つに分類されますが、辛味成分からみるとブラウンとイエローに2分されます。
ブラウンマスタードの辛味成分は揮発性で刺激が強く、和カラシがこの種になります。
イエローマスタードは、不揮発性で刺激が弱くマイルドです。洋カラシがこの種です。

マスタードシードはそのままの状態では無味無臭で何の芳香も辛味も発しませんが、すり潰すなどしてから水分と合わせると、辛味と香りを発します。また、炒ると甘いナッツ臭がたちます。
酵素の働きで辛味成分が生成されるので、ぬるま湯などで力強く溶き、10-15分置いてから使用すると旨味のあるカラシになります。

辛味成分がお肉やお魚のタンパク質と反応して化学的に臭みを分解する働きと、ツンとした芳香が鼻の粘膜を刺激することで素材の臭みを感じなくさせる効果の両方を持ち合わせているので、お料理の下ごしらえとソーセージにつけて食べるというような薬味的な使い方のどちらにも効果を発揮してくれます。
ただし、マスタードの辛味成分は酵素によるものですので、お料理の下ごしらえに利用し熱を加えた場合は、辛味は飛んでしまいます。辛味を期待して使う場合は、おでんやソーセージのように、つけたら熱を加えず、そのまま食べるという具合に薬味的な利用をします。

マスタードシードと相性の良い食材
粒のままピクルスやマリネの風味付けとして。また、カレーを作る時のスタータースパイスとして油を挽いたフライパンでマスタードシードを弾けるまで熱したらタマネギ等の具材を入れていくというような使い方をします。市販のカレールーでカレーを作る時にも、具材をマスタードシードで炒めると旨味のあるカレーに仕上がります。

乳化作用があるので、荒くすり潰してドレッシングに利用したり、マリネ、カルパッチョにも相性が良いです。
お肉にお湯で固めに溶いた粒マスタードをたっぷりつけてローストしたり、マスタードシードを油と一緒に先にフライパンで炒ってから、にんじん、大根、ハスなどの根菜類を炒めれば、インド風の野菜炒めやレリッシュが簡単に作れます。
レモンなどの柑橘類とも相性が良いので、レモンを最後に搾って食すようなお料理のスタータースパイスとして利用してみてください。 馴染み深いお料理のバリエーションになると思います。